公開日 2024年03月26日
令和6年3月19日(火)、「多様な力を活かす働きやすく働きがいのある研究環境とは」をテーマに令和5年度情報共有フォーラムを対面とオンラインのハイブリッドで開催しました。
年度末の忙しい時期にも関わらず、広島大学、島根大学、SANʼINダイバーシティ推進ネットワーク協力機関の企業・団体、学生、その他大学の方々に対面では33名、オンラインでは49名の方に参加していただきました。(後日配信での視聴希望者20名)
島根大学は広島大学と共同で令和5年度科学技術人材育成費補助事業「ダイバーシティ研究環境実現イニシアティブ(調査分析)」事業に取り組んでいます。本事業では、海外の大学及び研究機関の取組の現状と課題について調査分析を行い、地方に位置する高等教育機関の視点から、多様性(Diversity)、公正さ(Equity)、包摂性(Inclusion)を重視した研究環境づくりについて提言することをめざしています。
本フォーラムでは、まず事業の概要説明と実施状況が報告されました。
今年度は調査対象国であるスウェーデンとアメリカ合衆国の視察報告を行いました。スウェーデン調査に参加した本学丸山准教授から、各大学で「大学の基本方針、取組の変遷と成果」「取組の計画策定と実施上の工夫」「地方大学としての戦略」「STEM関連のすそ野拡大」「自治体、企業や地域との協力」について面談者に語ってもらい、多くのヒントを得たとの報告がありました。アメリカ合衆国の2つの大学を調査した本学香川准教授からは、インタビュー調査の結果を受けて、現時点で考えうる「女性研究者確保に関わるいくつかの提案」がなされました。
第2部では、地方大学における女性研究者支援の現状と課題として山陰の各高等教育機関の若手研究者の方々の事例報告で始まりました。登壇した4名の若手研究者はいずれも教職歴が1~5年と浅いながら、研究、教育そしてプライベートにおいても試行錯誤しながら頑張っている日々の様子とそこで感じた課題を発表しました。その発表では、プライベートなイベントが起きた場合は同僚の方々に相談することで、講義担当を変更してもらうなどの協力を得ており、とても感謝しているが、制度整備や周知方法は充分ではないという率直な意見もありました。
その後、若手研究者の発表を受け、海外調査報告者や事業担当者を含めたパネルディカッションでは、「スウェーデンでは育児は男女一緒にというのが良くみられた」「日本では家事は女性が行わなくてはいけないといった無意識のバイアスがあるのでは」「女性に限らず全員が活躍するためには制度を整えることが大切であると改めて感じた。また意識を変えていくことも大事だと感じた」「数十年前に比べて理工系を希望する高校生が増えており、若手研究者の理工系の学びが楽しいという本日の報告からも今後が期待される」という課題や期待について意見が出されました。
今回のように海外の調査報告や若手研究者の事例発表を多くの人と共有し、同じ視点で話し合うことで「働きやすく働きがいのある研究環境とは何か」について改めで考えることができ、次年度行う提言策定に向けて前進できたフォーラムとなりました。