島根大学 ダイバーシティ推進室

第102回拡大版さぽっとカフェ「知れば広がる家族のミカタ ステップファミリー」を開催しました(オンライン)

公開日 2023年02月27日

 2023年2月13日(月)の昼休みの時間帯に,第102回拡大版さぽっとカフェを開催しました。「知れば広がる家族のミカタ ステップファミリー」と題し,講師として野沢慎司先生(明治学院大学 社会学部 教授)をお招きしました。当日は, 島根大学,松江高専,米子高専,島根県,教育委員会,スクールカウンセラーや臨床心理士,その他県内外から38名が参加しました。

 はじめに逆説的な家族理解を焦点に,「ステップファミリー」の定義とこの語を使う意味,また日本独特の離婚・再婚と子どもに関する制度について丁寧に説明いただきました。日本では離婚すればどちらか一方の親が親権を持ち,一方が親権を喪失し親子の関係を失うことが多いですが,海外では離婚後も共同監護/養育が一般化しており,子どもが親を喪失しない権利を重視され,子ども中心の視点が新しい世界的標準モデルになっていること,それによって子どもへのよい効果が上がっているという話がありました。

 また,先生が出演されたNHKの番組の中で,親の再婚により継父,継母と生活した子ども(当事者)が大人になった今だから話せる,当時の生活について,親として受け入れる難しさやどれだけ気を遣っていたか,家に帰るのが苦痛であった等ステップファミリーの子どもの困難さを本音で話されていました。

 野沢先生は,日本は離婚をして「ひとり親家族」になったという古い常識から,継親は「ふつうの家族」として親になろうと無理をするが,継親は親ではなく独自の役割がある存在だと認識することで,子どもの抵抗感が減り継親を受容しやすくなる。そこに,同居親はコーディネーター役として継親と子どもの関係を調整したり,離婚後別居した実親と子どもとのゲートキーパー役となることで,子どもが生活環境の変化に適応しやすくなる。日本の場合制度的に弱点があり同居親と別居親は,子どもの共同責任者として協力をしていくことで子どもの利益を守ることができると話をまとめてくださいました。

 日本では離婚・再婚も多くなりステップファミリーも増えてきた割に,その子どもたちの困難さや,繰り返される悲しい事件等に対する国や周りからの支援が遅れていることを実感した貴重な時間となりました。