島根大学 ダイバーシティ推進室

SAN’INご縁ネット/ 鞁嶋有紀先生(島根大学)「GH-IGFシグナリングが導いてくれた研究と人生の扉」を開催しました

公開日 2022年08月26日

 2022年8月24日(水)12:10~13:00に第58回ご縁ネットオンラインミーティングを実施しました。今回は鞁嶋有紀先生(島根大学 医学部 小児科学講座 准教授)に「GH-IGFシグナリングが導いてくれた研究と人生の扉」というテーマでお話をいただき、島根大学、広島大学、松江高専等から16名の参加がありました。

 鞁嶋先生は小児科医でありGH-IGFシグナリングの研究をしています。鞁嶋先生が研究を始めるきっかけは患者さんの病気の解明をしたいということでした。その病気に関連した遺伝子解析を行い、博士号を取得したのですが、ちょうどその頃見かけたインシュリン受容体のシグナリングカスケードのポスターにとても心がときめいたそうです。そしてアメリカ留学のチャンスを掴み、マウントサイナイ医科大学でノックアウトマウスを用いてGH-IGFシステムについて研究を行い、長年疑問に思っていたIGFと出生後も続く低体重との関係も明らかにすることができました。これからも遺伝子解析や機能解析を行いながら、成長障害とGH-IGFシグナリング異常について解明していきたいとのことでした。

 また、鞁嶋先生はこの留学で「仕事に専念した方が良いかもしれない」から「仕事も家庭も」に大きく考え方が変わったそうです。留学先のラボでは女性医師であるボス自身や他の医師たちが研究と育児を見事に両立させていたことの影響が大きかったとのこと。さらに、ご自身で育児をしてようやく病児の母親の気持ちがわかるようになり、小児科医としても診療の幅が広がったことも大きな変化だったそうです。

 しかし、日本で働いていると育児に十分に時間をかけることができないことの矛盾や管理職に就いている女性研究者が少ないなどジェンダーギャップがあることを感じると言います。解決に向けて行動したいとも話されていました。

 鞁嶋先生の話を受け、日本において研究者が研究と育児を両立しにくいのは何故なのか、どうしたら改善できるのか、参加者からさまざまな意見が出され、本ミーティングは働き方についても考える貴重な時間となりました。

 

 

鞁嶋先生