公開日 2022年06月28日
2022年6月15日(水)12:10~13:00に第56回ご縁ネットオンラインミーティングを実施しました。今回は渡邊千夏先生(松江工業高等専門学校 情報工学科 助教)に「数値計算で探る中性子星の内部構造」というテーマでお話をいただき、島根大学、松江工業高等専門学校、広島大学、佛教大学などから17名の参加がありました。
渡邊先生は理論宇宙物理学を専門としており、研究テーマは中性子星の内部構造の数値計算です。
本ミーティングでは「星の一生〜誕生から死まで」を概説してから、「中性子星とは(どんな星?)」としてその発見の経緯や特徴を示し、その後「研究のお話(中性子星の内部構造の数値計算)」として様々な波長による中性子星の観察結果と数値計算を比較することで、内部構造を明らかにしようとしている研究内容について丁寧に説明していただきました。
中性子星は当時大学院生であったベル・バーネルが規則的に変化する電波信号(パルス)の観測したことから発見されたそうです。中性子星は恒星が進化し、超巨星になり、超新星爆発後の残骸からできたもので、現在、全宇宙で観測可能な天体では最も高密度なため実験室として貴重であり、観測データが増えてきているホットな天体とのことです。
中性子星は観測データから強い磁場と速い回転を持つという特徴が示されており、渡邊先生はここに注目して、強い磁場と速い回転を含む中性子星の状態方程式を解く研究を進めています。そして、渡邊先生が実際に行った数値計算の結果から、ある条件では現実に有り得ることを示すことができ、中性子星の内部構造を明らかにしつつあるとのことでした。
渡邊先生に、中性子星研究の魅力についてお聞きしたら、「理論研究者と実験(観測)研究者が共同で研究を進められるところ」という返事をもらいました。宇宙研究は、ロマンがあり憧れる研究分野ですが、それだけでなく多くの研究者と一緒に研究を進められる「研究」の醍醐味を味わえる分野なのかもしれません。