公開日 2022年06月06日
2022年5月23日(月)12:10~13:00に第55回ご縁ネットオンラインミーティングを実施しました。今回は豊島 彩先生(島根大学 人間科学部 人間科学科 講師)に「COVID-19感染拡大時における高齢者の心理的孤独」というテーマでお話をいただき、島根大学、島根県立大学、広島大学、大阪成蹊大学、佛教大学などから20名の参加がありました。
豊島先生は複数の人が関わる「社会」を心理学的に扱う社会心理学を専門としており、研究テーマは社会関係の生涯発達、加齢変化ということです。
今回は高齢期の社会的孤立と孤独感についての概説の後、COVID-19感染拡大の下での孤独感に関する調査・研究を報告していただきました。社会的孤立は社会的ネットワークが乏しい状態であり、そのサポートも欠如している状態を言います。一方、孤独感は社会的ネットワークが欠如した時に生じる不快な経験を意味するとのことです。
COVID-19感染拡大の下では交流が制限され、高齢者への支援も充分ではないことが問題になっていますが、成人(20歳〜79歳)への孤独感の集団レベルでの調査では年代に特に差はなく若者においても孤独感を感じていること、現時点ではCOVID-19感染拡大における孤独感への大きな影響は報告されていないが、長期的な調査によって課題が見えてくる可能性があるとのことでした。
豊島先生の研究では、複数の対象者の多様な行動や様々な社会現象を考慮しなければならず、「社会的孤立と孤独感との関係を詳細に考えるには?」「分析方法についてもう少し詳しく話してもらいたい」「被験者にバイアスはないのでしょうか」といった参加者から自身の理解を深めるための質問が数多くありました。
環境や時代によって変わる部分と普遍的に変わらない部分を知るためには、社会を捉える目を養うことが必要だということを強く感じたセミナーとなりました。