公開日 2022年03月25日
2022年3月17日(木) 12:00~13:00に第53回ご縁ネットオンラインミーティングを実施しました。今回は足立孝子先生(島根大学人間科学部人間科学科 福祉社会コース 助教)をお招きし、「精神障害者のスティグマ」というテーマでお話しいただき、島根大学、松江高専、広島大学、地域の方々などから16名の参加がありました。
まず、足立先生ご自身の自己紹介をしていただきました。先生が精神病患者に着目するきっかけとなったライシャワー大使刺傷事件について、紙芝居でご紹介いただいたのが、視覚的で分かりやすく、とても印象的でした。
次に、精神病患者を社会がどう扱ってきたかの歴史について、説明していただきました。日本はかつて精神病患者もそうでない人も社会の中で共生してきましたが、西洋医学導入後、自宅や病院へ患者を隔離するようになっていったそうです。西洋において、近年では、精神病患者も社会で共生してい くという方向性に転換しているそうですが、日本における精神病患者に対する偏見は、マスコミの報道の影響もあって根強いとのことです。
その様な社会的な状況の中、足立先生は精神病患者の発症早期の治療支援のために、精神病が疑われる若者を対象にチームで取り組んでおられるそうです。通常精神科の病院に行けば精神病の確定診断がおりて投薬が行われる可能性が高いそうです。しかし、チームで丁寧に当事者とその家族の話を聞き、充分な精神的サポートを行った結果、受験合格を契機に一気に症状が軽快したという事例もあったそうです。
少し前から「鬱は心の風邪」と言われ出し、本当にしんどい人が病院に行きやすくなった一方で、本来精神疾患ではないと思われる人も病気と診断されてしまうという問題が発生しているのも現実だそうです。実際、参加者からも、精神的にしんどくなって病院に行っても大して話を聞いてもらえず、ただ薬を処方されるだけということを体験したという声もあがりました。社会から精神病患者への偏見を取り除き、自分や家族の状態を正しく判断し、必要であれば適切に医療にかかれるようにするためには、精神病に対する正確な知識と理解が必要だということがよく分かるお話でした。