島根大学 ダイバーシティ推進室

SAN’INご縁ネット/青木美穂先生(島根大学)「数の世界の愉しみ方~「整数論」と「和算」~」を開催しました

公開日 2021年07月06日

2021年6月24日(木)12:05~13:00に第46回ご縁ネットオンラインミーティングを実施しました。今回は島根大学総合理工学部 数理科学科 教授 青木美穂先生をお招きし、「数の世界の愉しみ方~『整数論』と『和算』~」というテーマで話題提供していただきました。

当日は、島根大学、島根県立大学、米子高専の教職員計12名の参加がありました。

はじめに、関孝和とその門下生によって発達した日本独自の数学である和算について紹介いただきました。日本独自の文化である算額(和算の問題や解き方を記して神社仏閣に奉納した額や絵馬)に書かれている和算の問題と、現在の小学校から大学まで学ぶ数学との関連について紹介されました。和算に親近感をおぼえるとともに、娯楽として和算の問題を解いていた江戸の人々に思いを馳せることができました。そして、日本では関が、スイスではベルヌーイが、ほぼ同時期にべき乗和の公式を発見したと聞き、とても不思議な気持ちになりました。

次に青木美穂先生の専門の整数論で扱う素数について、ユークリッドによる無限個あることの証明や、素数の規則性や分布、ゼータ関数の零点に関する未解決問題などについて教えてもらいました。また、これらの性質やコンピューターが素因数分解を苦手としていることを利用したRSA暗号のしくみを「秘密の鍵」といった言葉で説明していただき、イメージすることができました。私たちが普段使うインターネットのセキュリティを守るために利用されているRSA暗号に約400年も前に発見された素数の性質に関する定理(フェルマーの小定理)が使われていることに、数学の「力の凄さ」を感じました。

参加者からは、「数学は学生時代から苦手でしたが、数学の歴史を面白く聞くことができました」「素数と暗号のお話をとても興味深く聞きました」などの声が寄せられました。