公開日 2020年08月19日
2020年7月27日(月) 「ダイバーシティ研究環境実現イニシアティブ(牽引型)」キックオフシンポジウム「ダイバーシティ研究環境実現に向けて-多様性を活かして,ひとり一人が輝く未来へ!-」をオンライン開催いたしました。当日は連携機関や地元企業、ダイバーシティ事業に取り組む他大学など70名を超える参加者が集まりました。
はじめに、本事業を遂行するにあたり,どのような課題があり,どのように立ち向かえば良いのかを考える機会として「日本の社会・組織において、女性の活躍を阻むものとは? ―無意識の偏見をなくすために―」と題して東洋大学北村英哉教授に基調講演を行っていただきました。
先入観や固定観念からのバイアス(歪み)はどこにでも潜んでいます。例えば,日本人は「清浄主義」を持っているがゆえに,無意識に新型コロナウィルス対策が成り行き任せになりがちです。この無意識の偏見はもちろんジェンダーにおいても存在し,個人差の方が大きいにもかかわらず,そのせいで他者をカテゴリー分けしたステレオタイプのイメージを持ってしまうとのことでした。このことは参加者が【潜在連合テスト】を実際にやってみることで実感できました。
そこで,無意識の偏見から逃れるための対策として,物事を判断する場合,必ず根拠を考えることが必要だと北村先生は指摘します。そして偏見のない社会は誰もが住みやすい社会であり,組織全体が向上すると同時に穏やかで安定的あるためには,構成員同士のフェア(公正)な関係と対応が求められると結論付けました。
今回,ダイバーシティ研究環境を実現するには,一人一人がこの無意識の偏見を乗り越えて,フェアに進めていくことが大切であることを改めて多くの人たちと共有することができました。
ただし,この「無意識の偏見」はどんな場面でも生まれて簡単に心に住みついてしまうので,常に自分に「そう考える根拠は何か?」を問い続けなければならないことも強く感じました。そして共にそう考えられる仲間を増やしていきたいと思いました。
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松江工業高等専門学校 -
米子工業高等専門学校 -
島根大学
後半は,連携4機関(島根県立大学,松江工業高等専門学校,米子工業高等専門学校,島根大学)によるダイバーシティ事業の取組紹介と,パネルディスカッションを実施しました。ダイバーシティ事業に関する各機関の課題を再確認し、新型コロナウイルスによる影響を今後どう乗り越え、取組を発展させていくかについて自由な意見交換を実施しました。今後、連携機関間では女性研究者支援のあり方について常に情報共有を行うこと、連携機関間での共同研究の促進による研究交流を活発化させていくこと、そしてオンライン会議システムの活用による頻繁な情報交換、会議、共催イベントの実施をしつつ、なおかつ十分な感染対策を施したうえでの対面会議や対面イベントの再開も時期を見計らって実施していくことについて合意しました。
本シンポジウムで得られた新しい知見と、連携機関との意見交換によって得られた共通理解を礎に、今後取組のより一層の発展のために取り組んでいきたいと思います。