女性技術者・研究者の声/大福工業株式会社

道路や上下水道などの社会インフラから環境保全まで。暮らしを守る多彩な技術力
大福工業株式会社は昭和33年に創業された、土木・建築を中心とする総合建設会社です。社内には主な事業部として、道路や上下水道の整備・工事、民間住宅の建築を担う「土木部」、土質改良や地盤改良、コンクリートの洗浄を手がける「環境部」、そして重金属の吸着剤や不溶化剤などの開発を行う「環境技術部」があります。
このうち環境技術部は、「出雲環境技術センター」として出雲市荒茅町に拠点を構え、独立した形で運営されています。技術者は現在8名在籍しており、その内2名が女性です。今回、環境技術部主管の三代 江里子さんにお話を伺いました。
環境技術部主管 三代 江里子さん
私は松江工業高等専門学校環境建設工学科を卒業し、2011年に大福工業株式会社へ入社しました。入社当初は、土の粒度試験などの土質試験業務に携わっていましたが、6年前からは環境汚染の防止に繋がる、重金属を吸着する吸着剤の開発に取り組んでいます。
この研究は、工場跡地や道路工事で発生した土壌にヒ素や鉛などの有害な重金属が含まれている場合、それが人体に悪影響を及ぼす危険性があるため、これらを安全に吸着・除去する物質の開発を目的としています。現在は国の助成金なども活用し、島根大学材料エネルギー学部の田中秀和先生と共同研究も進めています。
また当社では過去に、島根県で産出されるゼオライトの一種「フェリエライト」を用いた二酸化炭素(CO₂)濃縮装置の開発にも取り組んでいました。この装置で濃縮された高濃度のCO₂をハウス内の植物苗に吹き付けて光合成を促進させることで、大粒のイチゴの栽培に成功しています。こうした環境にも優しい多様な業務に携われることは非常に刺激的で、日々楽しく働いています。
土木・建築の現場に女性がいることで、清潔さや安全性といった女性ならではの視点での安全パトロールが可能となり、安全で安心な職場を作る環境改善にも重要な役割を果たしていると感じています。近年では、現場に女性用トイレが設置されるなど、より働きやすい環境も整ってきました。
この仕事は、自分で計画を立てて進められるため、休日もしっかり確保でき、家族との憩いの場や趣味を楽しむ時間も持てる働きやすさも魅力の一つですので,是非若い後輩たちにも興味を持ってもらい,仕事の選択肢に加えてもらえればと期待しています。
三代さんは、このように研究内容について楽しそうに語ってくださいました。松江高専からは女性の後輩も入社されたとのこと。今後は島根大学を始めとした共同研究を通してさらに技術力や専門知識も深めて頂き、「ご縁ネット」での情報発信も期待しています。