女性技術者・研究者の声/島根県産業技術センター

島根県産業技術センターは、島根県内の企業による新製品・新技術の開発や、新たな技術導入など、産業競争力向上への取り組みを技術的に支援する機関です。松江市と浜田市に拠点があり、松江市では化学、機械金属、食品、電機、情報など幅広い産業分野を、浜田市では食品産業や窯業を中心に、ものづくり産業全般を支援しています。
浜田技術センター 食品技術科 上野祐美さん
私は島根大学生物資源科学部生命工学科を卒業し、令和2年に島根県産業技術センターへ入庁しました。父が他県の産業技術センターで勤務していた影響もあり、高校生の頃から技術センターで働くことを夢見ていました。
入庁後2年間は松江市のセンターに勤務し、エゴマ種子由来α-リノレン酸による血圧抑制効果など、機能性食品の開発支援に携わりました。他にも、美肌効果があるとされるα-エチルグルコシドが日本酒に含まれていることに着目し、日本酒パウダーを使用した菓子製品の開発にも関わりました。また、コロナ禍においては、業務の一環として、新型コロナウイルスPCR検査にも従事しました。
現在勤務している浜田技術センターでは、新商品の開発支援や異物検査の対応など、食品に関する幅広い相談に応じています。また、研究成果の報告や所内勉強会も活発に行われており、先輩の女性研究者が島根大学で講演を行う機会もありました。
センター全体では研究職員が約50名在籍していますが、女性は4名です。私が入庁した当初、女性は1名だけでしたので、少しずつ増えてきています。仕事は残業もほとんどなく、自分のペースで進めることができる環境です。
在学中には「SUN‘IN Girls」として、女子中学生向けの実験教室にも参加していました。島根県産業技術センターではまだ女性研究員が少ない状況ですが、他県では女性がより多く活躍しています。私自身は家族の影響でこの職業を知っていましたが、一般にはまだ認知度が高いとは言えないかもしれません。
生物を選ぶ生徒には女子が多い傾向がありますが、産業技術センターでは食品に関わる仕事にもつながる可能性があります。進路を考える際の一つの選択肢として、ぜひ視野に入れてもらえたらと思います。